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左対左の有効性(1)

野球のセオリーの一つとして、左投手に対する左打者への有意性がある。


ゲームを見ていると、それが有利だと理解していながらワンポイントリリーフの失敗があると
決まって監督の決断に批判を浴びせる。
テレビの実況解説などでも、最近は左対左に拘るよりは
選手の調子を見極めた采配をすべきだという意見も多い。
分割データなどでも、「この左打者は左投手の方が打率が高い」
といった傾向は良く出てくる話題だ。


これはNPB、MLBに関らずどんなリーグでも同じような意見が出てくる。


でも実際、左対左に拘らず投手交代を行なう監督は未だかつてお目見えしていない。
そこにファンのストレスが溜まる。


この現象をデータを使って解析してみよう。
対象とするのは、昨季MLBの公式戦に出場し、通算打席数が少なくとも100以上はある
128人の左打者のこれまた通算成績。スイッチ打者は対象外。
占めて36100以上のサンプル数なので、実用性はあると思う。


早速、対左投手打率が通算で3割を超える打者から。


.335(.322) Ichiro Suzuki
.319(.254) Brennan Boesch
.317(.262) Nate Schierholtz
.306(.316) Joey Votto
.305(.293) Juan Pierre
.302(.331) Todd Helton
.300(.311) Robinson Cano

以上の7名が対左投手通算打率3割の打者(カッコ内は対右投手打率)。割合にして5%にしか過ぎない。
この中ではIchiroがダントツに近いレベルで突出しているが、元の打率が高いので対右投手との
差は1分3厘となっている。左右万遍なくという意味では正解だといえる。

BoeschとSchirholtzは通算打数が1000に満たないキャリアのため、
参考程度と受け取っても良いかもしれないが、
対右投手打率との乖離もかなり大きく、将来的にも期待が持てそうだ。

Votto、Helton、Cano、Pierreは実績十分ではあるものの、
Pierreを除いては対右投手の方が高い打率を残しており、左投手の方が得意だとはいえない。


次に、左右投手別打率で対左投手の打率が良い打者。
カッコ内は右打率-左打率

.065(.319-.254) Brennan Boesch 
.056(.317-.262) Nate Schierholtz 
.056(.288-.233) Bryan Petersen
.050(.289-.238) Daric Barton     
.038(.287-.249) Kelley Johnson
.037(.280-.243) Josh Reddick  
.036(.290-.254) Blake DeWitt   
.033(.280-.246) Chris Getz      
.029(.295-.266) Mike Carp      
.028(.267-.239) Alex Cora  
.025(.277-.252) Logan Morrison   
.025(.249-.224) Jack Hannahan  
.016(.287-.270) Endy Chavez     
.014(.293-.278) Ross Gload    
.013(.335-.322) Ichiro Suzuki
.013(.305-.293) Juan Pierre 
.009(.291-.282) Denard Span   
.006(.239-.233) Dan Johnson 
.000(.253-.253) Mitch Maier     
.000(.285-.285) Hideki Matsui
  
左右間同じ打率のMaierとMatsuiを含めて20名。16%の打者が右投手のときよりも
打率が高かった。ここではBartonとK.Johnsonが目を引く。両者に共通しているのは、
ボールをじっくりと見極めるタイプだが、これは後に出す予定のデータによって、
完全なる根拠にはなり得なかった。


全体を見渡すと、パワーヒッターの数が非常に少ない。D.Johnson辺りのレベルまで落ちると、
どっちもどっちという印象を受けてしまい、強いて挙げればCarpとMorrisonくらい。
シングルヒッターの方が、ボールに当てることへの意義が強いのでこれはこれで無難な結果なのかもしれない。


今度はOPSに移ってみよう。選球眼と長打力が試される。


.899(.981) Joey Votto       
.870(.887) Chase Utley       
.855(.960) Jason Giambi      
.850(.697) Daric Barton      
.849(1.022)Todd Helton       
.846(.740) Brennan Boesch     
.840(.759) Mike Carp        
.818(.854) Robinson Cano      
.813(.969) David Ortiz       
.813(.692) Blake DeWitt     
.808(.933) Travis Hafner    
.808(.840) Hideki Matsui    
.800(.788) Ichiro Suzuki    


対左投手OPS.800以上の打者は13名で、10%の割合。

この辺りでUtley、Giambi、Ortiz、Hafnerといったスラッガーが登場してくる。
ただし、Utleyを除いては対右投手よりも1割以上も数値が下がっており、全体トップの
Vottoもその例外ではない。Bartonに至っては対右投手OPS6割台とは、
凄いのか凄くないのか良くわからない打者である。

その点、DeWittとIchiroは健闘している数字といっても良いだろう。Matsuiも打率のお陰でOPSの
下落をほどほどに喰いとめている。


.154(.850-.697) Daric Barton  
.137(.796-.659) Bryan Petersen  
.121(.813-.692) Blake DeWitt     
.107(.846-.740) Brennan Boesch
.092(.785-.694)Josh Reddick
.081(.840-.759) Mike Carp      
.077(.789-.712) Nate Schierholtz  
.049(.781-.732) Denard Span   
.045(.657-.612) Chris Getz 
.039(.707-.668) Mitch Maier 
.034(.808-.774) Kelley Johnson   
.027(.671-.644) Alex Cora  
.012(.800-.788) Ichiro Suzuki  
.008(.681-.673) Jack Hannahan   
.006(.691-.685) Endy Chavez    
.000(.708-.708) Juan Pierre     


これが左右投手別OPSで対左投手の打率が良い打者。カッコ内は右OPS-左OPSで、16名13%の割合。
D.Johnson、Morrison、Matsui、Gloadが抜け、後は全て対戦打率で顔を出した
選手になっている。

ということは、ここに出てくる選手のOPSは長打力や選球眼ではなく、
打率でOPSを押し上げた可能性が極めて高い。


ここで最も肝心なデータである三振/四球の比率を出すことにする。
セイバー系のサイトでは四球/三振として紹介されているが、それを逆さまにしただけの話ではあるが、
この計算式だと優劣が降順となってしまい、数値の高い順から優秀と覚えられるのは良いが、
殆どの打者が三振>四球であるためゼロコンマの世界で判断しなければらならない
これはセイバーメトリクス(の計算式)最大の失敗だと思っている。

三振/四球(K/BB)は数値が低くなるほど優秀となり、今のMLBでは毎年2/1の比率となっている。
個人的な計測歴によれば、K/BB1.30以下は優秀、1.00未満はかなりの打者という評価基準で、
2.50を超えると少し危険、3.00以上は選球眼に問題を抱えている打者と捉えて良い。
因みに、4.00を超えるような打者は平均レベルにまで改善するのが困難な状況と見ておくべき。


0.69(2.19-1.50) Bryan Petersen  
0.20(1.84-1.64) Blake DeWitt 
0.16(1.84-1.84) Endy Chavez  
0.03(3.20-3.17) Mike Carp      
0.03(1.00-0.97) Juan Pierre
-0.03(3.72-3.75) Josh Reddick  
-0.09(1.49-1.58) Ichiro Suzuki    
-0.12(1.10-1.22) Daric Barton    
-0.12(1.21-1.33) Denard Span  
-0.20(2.38-2.58) Brennan Boesch  
-0.40(1.81-2.21) Mitch Maier  
-0.66(2.06-2.72) Jack Hannahan  
-0.90(1.46-2.36) Chris Getz 
-1.23(1.58-2.81) Alex Cora      
-1.59(2.74-4.33) Nate Schierholtz 
-1.25(1.72-2.97) Kelley Johnson   


これが、前出の対左投手OPSの項目で登場した打者達の左右間K/BB。
カッコ内、対左投手K/BBから対右投手K/BBを引いてプラスになった打者は「左投手に強い」
もしくは左右互角と評価すると、残ったのはPetersen、DeWitt、Carp、E.Chavez、Pierreの5人だけに
なってしまった。Petersenは通算159打数のため参考程度に扱うとして、
シングルヒッターとキャリア駆け出しの若手打者のみに絞られる形となった。


特に、K/BBが1.00以上悪化しているK.Johnson、Schierholtz、Coraは対戦打率が高いからといって
「左に強い」と論評してしまうと、すぐさま足元を巣食われても可笑しくないほど
打席上のアプローチ面では劣化現象があるということだ。


これらの打者以外に、打率やOPSが劣っているにも関らずK/BBだけは対左投手の方が良かった打者は、


1.31(5.20-3.89) Reid Brignac 
0.40(1.76-1.36) Melky Cabrera  
0.39(2.62-2.23) Jon Jay    
0.36(1.92-1.56) George Kottaras 
0.26(2.40-2.14) Mike Moustakas  
0.18(1.58-1.40) Brett Gardner    
0.05(2.42-2.37) Colby Rasmus 
0.00(3.15-3.15) Felix Pie    

 
と僅かに8名。前出の5名と合わせて都合13名となり、これは打率(20名)OPS(16名)よりも
少ない結果となった。


このように、簡単な調査ではあったが左対左の対戦で有利が確定した打者は存在しなかった。
今後の行方も見据えた候補としては、Boesch、Carp、DeWittが挙げられる。
ただし、CarpについてはK/BBそのものを改善しなければ成績全体が悪化する可能性はある。
また、有利とはいわなくても互角と呼べるのは、Ichiro、Pierre、Spanといったシングルヒッターで、
K.JohnsonとSchierholtzは別の視点から見ると対左投手への強味があるのかもしれない。

また、K/BBの観点から考えると、Melky CabreraやKottarasも今後成績を上昇させる可能性が残されている。


これらの打者には、データ上では無理をして左投手を送る必要はないが、
特に交代させても差し支えないレベルのようにも見える。


ただし、長打の心配はない反面、得点圏に走者を置いた場面では
単打で1点を取られる危険はまた別に考えないといけない。
BoeschからSpanまでの6人にはそうした傾向があるといえる。


ファンや解説者が度々指摘するのは、そういった場面が多いからだ。


次回は、MLBを代表する強打者達を中心に記事を作り、その時は長打力についての言及も交えながら
左対左の有効性についてまとめてみたい。

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