スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2番打者のお得感~アウトであってアウトでないもの~

巨人が2番にジョン・ボウカーを入れて来た。

日本の野球で送りバントというのは、もう儀式の世界に近くなっていて、「取り敢えず済ましておけ」とばかりに繰り出す定番の武器のようなもの。攻撃側のチームが犠打を成功させたとき、スタンドのファンが拍手喝采(実際には応援メガホンを叩く行為)なのは、得点の期待が膨らむと同時にこの「お仕事」に対するご苦労さんの意味がギッシリと詰まっているようにも見えてしまう。もし、あなたがこの輪の中に入っているファンだとしたら、犠打を成功させてムッツリしていると不思議人間としか見られないと思うので、気をつけた方が良い。

嫌味で書いているわけではない。バントと強行の得点確率みたいなのはここでは無関係な話。

ただ、送りバントを目的とした2番打者の配置はどうなのかっていうこと。

そういう視点で捉えた場合、犠打を成功させることは役目を果たすことと同意義となり、言ってみれば安打で出塁することと同じくらいの満足感が芽生えてくるのが不思議だったりする。1番打者が出塁して2番が送った後、後続打者が凡退した場合、不満の矛先は得点圏で打てなかった打者達に向けられ、3アウトの内1つを記録した2番打者に対する印象は出塁した1番と同じ満足感を得ているはず。だから、犠打を成功させた打者は「攻撃の成功」を表しており、送りバントは「アウトであってアウトでないもの」として扱っても違和感は無いということになる。

例えば3打数1安打1四球1犠打を記録した選手に対する印象は、5打席で3度成功した打者という印象を植え付ける。記録上でも、送りバントは打数に組み込まれずにただ単に犠打として扱われ、大多数の打撃指標からは見向きもされていないが、ファンから見ればチームの得点が喜びとなるわけだから、点に絡んだ犠打は点に繫がらない安打よりも大きな価値を残ているのは紛れもない事実。だって、野球は点取りゲームなのだから。


つまりはそういうことで、昨年日本一になったソフトバンクの2番打者本多雄一のケースで例えてみると、

2011年度   522打数 159安打 53四球 53犠打 .305打率 .367出塁率

という成績に、犠打を安打と同価値としてその分を上乗せすると凄いことになる。

2011年度   575打数 212安打 53四球      .369打率 .423出塁率

極端な視点からいえば、ホークスファンにとって昨年の本多は.369の超高打率を残した選手と
目に焼きついているとさえいえる。


もう一例、一昨年打率.350と大活躍した阪神・平野恵一のケースでも、

2011年度   492打数 172安打 34四球 59犠打 .350打率 .399出塁率

2011年度   551打数 231安打 34四球      .419打率 .459出塁率

ついに打率が4割を超えてしまった。この年の平野に対する阪神ファンのイメージは4割打者のように
見えていたといっても多分否定は出来ないだろう。


では、バント職人ともいわれているベテラン選手についてはどうだろう?2000本安打が間近となっているヤクルト・宮本慎也と、中日・井端弘和の場合を見てみよう、か。

<宮本>
通算成績   6964打数 1975安打 386犠打 368四球 .284打率 .326出塁率
 
印象算成績   7350打数 2361安打      368四球 .321打率 .359出塁率

<井端>
通算成績   5555打数 1591安打 218犠打 557四球 .286打率 .355出塁率
 
印象成績   5773打数 1809安打      557四球 .313打率 .379出塁率
 

両者とも打率でかなり健闘しているから元々の印象も悪いはずがないのはさておき、宮本にしても井端にしても
ファンからの信頼が厚いのは、これまでに決めてきた多くの犠打が「攻撃の成功」と見なされ、実際の打率や出塁率以上に良い印象を残している部分があるからではないだろうか。だから、それ(犠打)を成功(安打)と付け替えて計算し直すと上の数字のようなイメージが出来てくる。これこそ、2番打者特有の数字のマジックであ~る。


ボウカーの場合、恐らくバントという技は持っていないだろうから、勝負出来るのは自身の攻撃力のみ。
記述した犠打を安打と置き換える印象打率で過去の2番打者と比較するなら、昨年の藤村大介(打率.222、印象打率.283)、2009年の松本哲也(出塁率.334、印象出塁率.380)と肩を並べるくらいの実質的な打率もしくは出塁率を残さないと合格点はつけられないかもしれない。これはこれで結構厳しいハードルでもある。

では、ボウカーが何故2番に座っているのかと想像すると、それは今現在調子が良いから。
.380の出塁率はともかく、打率.283以上は残してくれそうな雰囲気で開幕戦に突入したボウカーは、昨日の試合でも来日初安打を記録し、先ずは無難な船出となった。しかし、年間通してボウカーが2番に座るためにはとにかく印象が大事。日本は今でも打率優先社会なので、.280以上は残して欲しいところ。2番打者としてこの打率なら、本塁打が10本台前半でも評価されるに違いない。ただ、5番打者でこの数字だったら逆に物足りなさを感じるかもしれない。それが打順からみる印象論の面白い点であり、また違和感でもある。

ところで、他球団の2番打者事情はどうなっているのか。
昨日の開幕戦を例に、いつくかのカテゴリで考えてみよう。

最初は不動の2番打者から。

西武     栗山巧
阪神     平野恵一(柴田講平)
中日     井端弘和(大島洋平)
広島     梵英心
オリックス  大引啓次

現時点で日本一の2番打者が栗山ということに異論を挟む人は少ないだろう。個人的にはもう少しパワー数値を付けた上でメジャーに挑戦して欲しい数少ない選手の一人なので贔屓目があることは勘弁いただきたいが、攻撃面ではオールマイティー。2ストライクまで平然と見送ることが出来るため、快足リードオフとの相性も抜群で色々な仕掛けが出来る。長打力の除けば平野が2番手。四球獲得は上々とはいえないが、ファールで粘れる点は何かしらの指標を創作してでも評価すべき点ではないかと思う。昨日はマートンの欠場もあって1番に座っていた。井端は数年前ならトップレベルの2番打者だった。年間犠打数の平均は16.8と思ったより少なく、3球以内で走者を進めるだけの結果よりも深いカウントまで粘る選球眼の方に価値が大きい選手。現在、この井端に最も近いスタイルなのが大引。ただし、犠打は多目。リードオフの坂口智隆にシングルヒッターの傾向が強く、また盗塁企画も少ないため攻撃パターンとしては仕掛けのネタが少ないことも影響している。梵は右打ちと機動力に特化した2番打者で、上のグループで似たタイプはいない。


日本ハム  稲葉篤紀
楽天     内村賢介
ヤクルト   上田剛史(田中浩康)
横浜     石川雄洋

次のグループは、今季から2番に固定される見込みの強い選手。稲葉を2番にというのは贅沢かもしれないが、その分機能する確率は高い。昨日の打順の並びからいって、バント要員としての2番打者を省いた様子となっている。内村はバント要員としての起用になると思われるが、機動力というもう一つの武器も揃えているため現在の楽天打線においては仕掛けのし易い打者という判断だろう。そういう意味では上田も同じ部類に入るが、昨年まで主に2番を努めていた田中と入れ替えする可能性もあり、打順の並び方によって攻撃パターンが変化するものと思われる。横浜は石川以外にも藤田一也や下園辰哉のといった攻撃面で信頼感の強い人材がいるので、チーム同様適宜なんとやらの世界じゃないかな。


ロッテ    根元俊一
巨人     ジョン・ボウカー

こちらは打撃状態の良さから2番に座るグルーブ。ロッテは根元の調子が落ちれば伊志嶺翔大とか、色々と選択肢はある。巨人はどうだろうかというと、昨日のスタメンを見た限りでは実は人材がいなかったりする。


ソフトバンク 明石健志

これはちょっとよくわからない。個人的には長谷川勇也がベストチョイスだと思うのだが、時代と逆行した考え。


では、12球団の2番打者をツールごとに分類してみよう。


       打撃  出塁  長打  走塁  犠打

栗山     ○   ○    △   △    △
平野     ○   △    ×   ×    ○
井端     △   ○    ×   △    ○
梵       △   △    △   ○    ○
大引     △   ○    ×   △    ○
稲葉     ○   ○    ○   △    △
内村     △   △    ×   ○    ○
上田     △   △    ×   ○    ○
石川     △   ×    ×   ○    ○
根元     △   △    ×   △    ○
ボウカー   ○   ○    ○   ×    ×
明石     測定不能

   
犠打の上手下手はちょっとよくわからんので、機会が訪れるかどうかで判断してみた。ボウカーの評価は期待に応えるという前提の下、甘めの査定かもしれない。目立っているのは、「打撃イマイチ出塁イマニ、ただしバントと走塁は得意」というタイプの選手が多い。要するに、単なるバント要員だけでは2番打者は務まらないと、どのチームの監督もそう考えているに違いないだろう。バットもしくはスピードで厄介な面がないと、せっかくの好打順も無駄にアウト一つ増やしてしまうからだ。

ただ、巨人や日本ハムの動きを見てもわかる通り、打てる2番打者を置く意味というのも十分にあって、その反動は下位打線の弱体化に繫がる危険性もあるが、この2チームについてはリスクが少ないと考えたのだろう。

一頃流行った下位打線を重視する考えは、今の統一球の時代には合わないと思う。というのも、打てない=打順が回転しないことを意味しており、好機を作るにしても打てない選手を上位に置いてしまえばその分打順の巡りが悪くなってしまうため、上位打線に出塁率の高い選手を置くことが必須条件のように感じるのは確かだ。

そうした意味でも2番ボウカー、注目してみよう。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

haus

Author:haus
Twitter@hausmlb

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。