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投手交代の判断材料~Archives~

※、この記事は2年前某所にて掲載したコラムです。
  昨日と一昨日の日本シリーズで、楽天の田中将大投手の起用法について
  物議を醸し出していましたが、参考になればと思い
  個人ブログ用に準備しました。
  文章のごく一部は、諸事情と時節により書き換えています。 



プロ野球の選手交代はゲームを楽しむ見所の一つという考えがあります。


「あの場面で代打を出して成功した」
「投手交代でピンチを切り抜けた」
「奇襲戦法が勝利に導いた」


これらの中で(先発投手の)交代について、采配を奮うベンチ(監督)の判断基準は
以下のように分かれているのではないでしょうか。


①勝敗ベースでの交代

②失点ベースでの交代

③イニングベースでの交代

④球数ベースでの交代


ここでいう①のケースは先発投手に白星をつけてやりたいという考え方で、
完投を要求することもあれば規定ギリギリの5回で降板というケースもあるでしょう。

②はいわゆる「リードするまで続投」というパターンが思い浮かびます。

③は継投プランが前提となり、④はMLBに通じる球数制限と称されるものです。

達成するための難易度は、①から順に易しくなってきます。
④は想定した球数が来れば交代ですから、一見凄く簡単に見えます。


理想をいえば「球数を少なくして、イニングを稼いでもらい、失点を防ぎながら勝つ」というものですが、
現実は中々そういきません。交代させた投手が打たれればベンチに批判が集中し、
当然チームも勝つチャンスが減ることになります。
特に、僅差でリードした展開での投手交代は勝負の分かれ目でもあります。


今季もこのようなゲームがありました。

<4/26楽天vs西武>楽天の先発岩隈が8回まで116球を投げ無失点に抑え、
2-0とリードした9回も続投した結果、満塁のピンチを背負ってしまい、
最終的には0点に抑え完封勝利を飾ったが、
この回だけで31球を費やし投球数は147球にまで登った。


<6/10の西武vs広島戦>広島の先発前田健が8回無失点、109球の内容で降板し、
こちらはクローザーのサファテが被弾したため同点となってしまった。
試合後、前田健は「僕の(投げる)九回よりもサファテの方が抑えられる。打たれたのは仕方ない」と語った。


楽天ベンチが岩隈に何球まで許容していたのか定かではありませんが、
(得点こそ奪えなかったものの)西武打線の粘りは交代機を見失わせるくらいのものでした。


交代11


失策で出塁を許したものの、中島、中村の3・4番でアウト一つを取りここまでは123球。

しかし、5番浅村がファウルで6球も粘り、結果は二死となりましたがこれで132球。

あと一人という場面ですから、続投も不思議ではなかったかもしれませんでしたが、
6番フェルナンデスが三遊間を破る単打で一、二塁となり、ここでまた誤算が。

7番阿部が追い込まれてからのフォークボールを振らず結果は四球で二死満塁。

最後は8番上本が凡退し無失点で切り抜けましたが、最後まで岩隈を追い詰めました。


ここでの交代機を球数ベースで考えると、

①9回先頭打者から
②フェルナンデスの打席
③上本の打席

と、三つありました。

しかし、完封というフィルターが掛かっているせいなのか、
球数ベースでの判断が鈍ってしまったことと、
岩隈に代わるような信頼度の高いクローザーが確立されていない背景から、
続投に疑問を挟む余地はなかったかもしれません。

加えて、上位から下位に進む打順からいって打者との強弱関係を考えても、
岩隈が乗り切ってくれるという期待をしたとしてもまた不思議ではありませんでした。

計算を狂わせたのは浅村の粘りと阿部の選球眼で、
楽天サイドとしてはどうにも身動きが取れない状況に陥ってしまったのではないかと想像しました。

前田健の言葉を借りるなら「リリーフの(投げる)九回よりも岩隈の方が抑えられる。147球は仕方ない」となるのでしょうか。


もう一件、事例を出してみましょう。


<5/20西武vs中日>西武の先発牧田は8回まで投げ無失点に抑えていたが、球数は125球に達していた。
完封を狙って続投した牧田は先頭打者佐伯に2塁打を許し、続く堂上剛にも単打を打たれ無死一、三塁となる。
一死後、9番打者野本に三遊間を抜くタイムリーを浴びここで降板。
球数は141球となった。
その後を託された岡本篤、グラマンが逆転を許しチームは5-0でリードした試合を引っくり返され逆転負け。


交代22


このゲームはひょっとしたら8回までに1点失っていた方が勝利確率、
いえ采配成功率が高かったのではないかと思えるような継投策の失敗例でした。

明らかに完封を狙わせる動きだった西武ベンチ、
仮に球数ベースでの交代機であれば9回の頭(もっと早いかもしれませんが)には切り替える必要がありました。

火傷をしない程度まで完封を許容するとしても、無死一、三塁の状況で131球に達していましたので、
(球数的には)これが限度でした。

西武にとって最大の誤算は、ブランコの押し出しや佐伯の逆転タイムリーではなく、
「1点を失ってなおも得点圏を含む2走者」と「BABIPに泣いた」ことではなかったでしょうか。


岡本篤が登場した場面は、4点差がありながらも走者2人ということでセーブが付く状況でした。

ですので、理屈を言えば3-0のスコアでクローザーを投入したのを同じことになります。

迎えた打者荒木の放った打球は、本塁ベースに当たって跳ね返った西武にとってはアンラッキーな内野安打で、
その後四球を3つも出したのはいけなかったですが、
代わったグラマンもBABIPに翻弄された結果でした。

佐伯に浴びた逆転タイムリーは、
左打者対策としてややセンターよりに守っていた遊撃手中島の右を抜けていくゴロで、
セイバーメトリクスの守備評価に使われるUZRで、
二遊間の打球処理に疑問符が付いている中島のポジショニングと打球の反応にには、
疑問を感じてしまうような打球でした。


敗戦後、渡辺久信監督は「(牧田を)引っ張り過ぎた。全て俺の責任」と語っておられましたが、
本当にその通りです。

スコア的に完封が途切れてからの交代、
投手が代わる毎にピンチが大きくなっていく形相は、
まるで敗戦に向かって舵取りをしているような光景でした。

ポジティヴに考えれば、「失敗を糧に」なるのかもしれませんが、
それは結果だけに限ったことではありません。


ここでの牧田のケースと、楽天岩隈のケースをクロスさせてみると、


交代33



西武の牧田が西武打線と対峙するという可笑しなヴァーチャルシーンですが、
3人目打者浅村の打席で既に141球に達しています。

状況は二死一塁ですから、完封を狙わせる以上は続投の可能性が大です。

フェルナンデスにヒットされた場面で交代させるチャンスは生まれますが、
打順は下位に進んでいます。

そこでまた阿部が粘ります。ここが限界だと思いますが、投球数は153球になってしまいました。

しかし、冗談抜きでこのような攻撃パターンとなる可能性も否定出来ないわけですから、
完封を狙わせることがいかにリスキーな采配であるか、理解いただける方が何人かはおられるかと思います。


このように、投手交代の判断で複数のフィルターが掛かってしまうと、
特に信頼度の高い投手については、球数ベースという考えが後手に回ってしまう傾向があり、
勝星や完封などといった勲章的要素が強い記録が掛かっていた場合にも、同じように球数は無視されがちです。

得点力が低下している今シーズン、
ロースコアないしは僅差で終盤を迎える場面がこれからも多く発生するととは思いますが、
投手交代機について球数ベースで考えるとチームの全体層、
そして年間プランをイメージすることが出来ると思います。

それによって采配面についての議論はさらに深まっていくのではないでしょうか。
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